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sentence2806/ヤブ医者の失敗その2(0601) ......

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sentence2806@ それで、あれは暮れの23日だったろうか、クリスマスを前に、夕方の5時頃だった。沢山患者さんがまっている待合室に、突然場違いにも、牛のような背広が入ってきた。そして後で聞いた話では、テレビの刑事もののお決まりの場面のように、受付でバッジを出したらしい。その数日前に、医師会から、なにやら、爆発物などの作製に関して、医療機関での薬品管理の現状を把握したいという連絡が警察所からあったので、事前に警察からその旨連絡あったら協力してやって。ただし、時間がおりあわなかったら断ってもよい、と書いてあった。爆発物?保管状況?なんのことかちんぷんかんぷんではあるが、まあ、別にかくすことでもなし、とおもっていたから、牛の背広が来たとの受付の連絡に、いいよ、っと行ってやった直後、あいさつも兼ねてか、その刑事がはいってきた。診察室にである。医療機関にとって診察室は一種聖域であり、部外者がカンタンにはいってはこまる場所である。物理的には女性の患者はいなかったけれど。そういう問題ではない。それで、あっちからはいりなおしてって、と言う私の声を聞いてか勘違いしてか、無視したかのように、とりあえず、横の薬局に入ってしまった。そこでカチンと来たので、事前連絡は、と問うたり、その返答にまたまたカチンと来たり、患者はイライラしているし、ついに御退場を願って、そのあと、電話で警察に苦情を言った。どうやらウチが、年も迫って最後だったようだ。他医院は院外薬局が多い。彼も今日で最後ということで、やれやれ、これで終わりか、と意気揚々だったろう。今になればこそ、左様にある程度は理解できるが、第一ウチは、他所さまと違って薬局と診察室は、薬のチェックなどのために繋がっているし、第一狭い。牛が一頭迷い込んでしまうと、薬づくりさえ滞る。忙しくバタバタ薬をつくっていることろに、患者さんからもみる事のできる場所で、牛刑事が何をしようというのか。しかもこの刑事、仕事熱心らしい。女性患者が入室したとたんアタフタと戻ってこないとも限らない、ということで、よりによってあのクソいそがしいに、一時間以上も待たしている患者さんたちをまたまた待たしてしまったことで容易に怒りが納まらなかったという訳だ。堀江モンだけではないんだこんなことは。世の中、いろんなことにスジとか、みんなが納得できるドオリってもんがあると思うの、まったく。こういうのを「非礼」と言うんだと思う。そしてこう感じたのは、私だけでなく、居合わせた患者さんの多くがそう思ったに違いない。事実その後何人かが、「まったく失礼だ」と発言している。
 ではなぜこうも、牛のダンナが私をして、オカシイと思わせたのか、だが、まずは、その刑事に、例の医師会からのファクスを見せたにもかかわらず、別にかならず電話をするなんて書いてないと言ったことから始まる!ハア? どこをどう解釈したらそういう不思議なヨミになるのか、それとも警察と言う所には独特の文法があるのか、残念ながら私のあたまでも、うちの職員の頭でもわからない。抗議先の生活安全課の課長というひとも、医師会のファクスのことは了解していながら、刑事と同じことをいったから本当によく分からない。その一文は、もう詳細は忘れたけど、とにかく、アポ取りがある、という風にしか読めない。ところがどっこい、彼らの言い分と来たら、医師会側の連絡に、事前に連絡がある、と書いてあることは認めるが、かならず連絡するとは書いてない、というのだから、完全湯沸機の私もしばし湯を沸かすのを忘れるぐらいだった。それに第一、医療機関の薬局とは、厚生省の薬事の管轄で、保健所がその出先機関のはず。それが、今なぜ警察なのか。また、テロの関係で、危険物(爆弾??)の管理状況という理由についてだが、私は不勉強なのでどの薬物を混合すれば危険物ができるのかしらないのだ。また人体にとっての劇物はいくらでもあるが、どれがテロ的危険物なのかもわからない。だから私は、まず課長さんに、調査に入るのなら、どれとどれをどう管理しているのか、またどの薬物がどういう危険物を作ることができるのかをキチっと教えろっと正した。薬品の管理者として当然の質問だと思った。だから、それがもしあやまりがあるのなら、まず、厚生省からの立入検査であるべきではないかとも言った。私たちは科学者の端くれだ。風邪薬と抗生剤で爆発物ができるのなら不勉強を恥じるし、第一、知らないことは知りたい。例の課長さん、話始めた時から無礼に感じた。それに、この電話はなんのためかと問うと、謝罪しているのだ、という。これも私には分からなかったのだが。私は、イカリ閾値が限りなく0に近かったので、「そうですか」と答えた?!保健所というか、厚生省は曲がりなりにも、医療の場面の当事者のことを知っているからまだ許せるが、門外漢が立ち入るべきではない。そこには病人が存在するんだ。だから、各省にも権限の違いがあるのだろう。それは、尊厳の問題と直接関係する。「尊厳なるもの」を今の時代だからこそ、一言いいたい。医者のわたしにしてみれば、警察も堀江社長もヒューザーもトーヨコも、それらの所轄の役人にも、人のいのち、人の住む、人の暮らす、という「人の」という視点が欠落しており同じ穴の貉である。経済を建てなおしたのは、グリーンスパンと同じぐらいあのヘーゾーという学者政治家はエライ、と思うのだけど、人間の視点からみれば、そろそろ小泉流という時代のバブルが弾けている。金銭バブルの次は人間不在のバブルだ。硬化した社会に風穴はたしかにあいた。しかし、人間性の置き去りはかわらなかった。前のバブルは戦争のつけ、今のバブルは平和のつけ。どちらもその修正を急ぐばかり、肝心の庶民を忘れた。そもそも日本の社会のよいところは、銭湯や長屋に象徴される庶民のまったりした人間味のある「巷のくらし」にある。その風こそが、メイドインジャパンであり、西洋人が高く評価することだ。それが今はメイドインジャパンの冥土隠者版を世界に見せてしまっている。(060131)