Back to Howawan's Homepage to index to Yahoo's Homepage

sent34-01110102105/細胞の意思とMr.Jobsの死4 ......

inhalts

sent34-01110102105@
(その4)
 えーい、じゃあ一体どれが正しいんだ!? というわけで、TLR(Toll様受容体と言われる)の話をしてみる。RA(リウマチ)の治療は、抗リウマチ薬や生物学的製剤など非特異的に免疫応答全体を抑制するものが中心だった。抗TNF療法(マクロファージが出す、癌細胞を出血させ、殺すサイトカインの結合する細胞の受容体をブロックする蛋白)でのいくつかの生物学的製剤はその高い有効性でRAの治療を大きく改善したが、結核の発症、日和見感染症、癌の発生など多くの問題を抱えている。そんななかで脚光をあびたTLR。もともと細菌(グラム陰性桿菌という種類)の菌細胞壁成分(リポ多糖)のマクロファージ(外的が入ると最初に食べにいく免疫細胞)側の受容体である。進化の過程で生体(この話の中ではヒト)が獲得してきたいくつかの種類の「自然免疫」の一つである。通常、免疫というと、いつのまにか哺乳類独特の「獲得免疫」を指すことが多い。後者は、脊椎動物だけに存在し、記憶(メモリー細胞)が可能となるが、システム反応なので、システム作動までの時間がかかるなどの難点がある。対して自然免疫は、自然界、多種生物に広く備わっている短絡的自己防御反応だ。進化的にも古い。つまり、直接自分に対して外的となる微生物に結合する細胞上のレセプターが備わったのは、種の保存の基本的な本能と言える。そして、この古本能は、「遺伝子」へ自己と他を分けるもっとも古い設計図として記述されているわけだが、ここで気づくもっとも気になることとは、新皮質ー古皮質の発生と獲得免疫ー自然免疫の発現との類似性だ。両者のキーワードは「本能」、と私は思う。
 以上をまとめる。最初の信号レースでの説明のように、脳の準備ー>回避行動ー>避けた、という図式は、意思による、「避けよう」ー>避けたという図式とは、一致しなかった。次に、原始生殖細胞の「意思」は、アメーバ(アリでもよかった)が意思を持つように行動するが、それは、ランダムに運動し初めても、結果として秩序をもつという図式に矛盾はしなかった。かと言って「意思がない」と断定も出来ない。
進化とは、種の保存のため、おもに生殖細胞が、なんども継代的に組み換えをしたり、使えないものメチル化(まあ、不活化、のような意味)したりして、そのプロセスを遺伝子に書き残していく作業であり、各世代で言えば、体細胞での環境順応性の高い突然変異などをその遺伝子に追加記述する行為とも言える。この長い長い時間においての作業の繰り返しが、秩序を創発したとしてもおかしくない。そして、その行為を仮に「本能」あるいは、「無意識」とすれば、「意識」は個体の「意思」として、同時に存在していけないとは私には思えない。むしろその整合性、つまり球がとんできて、自分を保存あるいは防御するために脳という組織が行動するとと、個体としての意識が、自分で球から自分を守るんだ、という行動を「意思」とよんで自己の存在を讃我する事をできるだけマッチさせようとすることとは、その生命ある個体として当然の保身的行為であり、どちらが正しいというものではないだろう。
 システムとサブシステムが整合性をもってプログラムー>実行系をこなすことの重要性。このことも、われら天才スティーブジョブスが、BSD(カルフォルニア大学のバークレー校で開発されたUNIX系OS)のサブシステムに対して、綺麗で使いやすいクオーツ(Quartz)というウインドウマネージャをもつカーネル(Osの核)をシステムと呼び、(実際には、BSDのディレクトリの方にMac側からリンクが張られているので、メインとサブが逆のようだが)、決して「落ちない」そして使いやすいMacOSを作り上げたように、本能(進化した遺伝子=サブシステム)と意思(獲得されその個体上でしか動かないシステムの司令塔)が、両者で相補的に私たち一人一人を作り上げていると、昔からの言い伝えどおりに理解するのが、一番自然のように思える。これは、決してな〜んだ!と言うことではないと思う。今21世紀四半世紀で、そこに立ち戻る段階に科学がやってきた、というとらえ方は、決して傲慢でもない、時宜にかなったむしろ自然な事だと思うのです。この「自然」こそ我々の命。この大テーマを、これからも少ない能力と時間で突き詰めていきたいと思っておる今日この頃です。そのために生きよう、と突っ張る以外、還暦、つまり自分の老いの事なんですが、それをどうもうまく受け止められません今日この頃です。
それにしても、Mr.ジョブス、昔はというと、決して日本人が好きだったと思えない、英語至上人間という顔だったように記憶があります(失礼!)。そんなEnglishな人を尊敬するなんて、私にとっては最初で、たぶん最後であります。そんな彼の死は、今の自分には、とてもとてもこたえるのです。だから、私は、これまで以上にこのBerkeleyでうまれたBSDちゃんを大切にするでしょう。Bちゃんとも長い付き合いになってきました。ジョブズが、自分で作った会社を追放されて、NeXTstep(自分で創ったアップルを追放されたあと彼が作ったNeXT社のOS)を作ったとき、BSDに自分の夢を載せたろう気持ちがなんとなく分かる今日この頃です。まあ、「こりゃ日本人、そりゃ勘違いだ!」と天国で怒ってるかもしれませんがねえ。
 はてもさても、放射能におびえる日本や近隣(ヨーロッパも含め)の子どもたち、今も飢えや銃禍のせいで死に直面する彼(か)の国の子どもたちに一刻も早く手が差し伸べられるように、我々が実行力のある智慧を神から一刻も早く与えられることを心から願いつつ。。。(0111007)