Back to Howawan's Homepage to index to Yahoo's Homepage

sent30-0807311730/愛犬まりの死2 ......

inhalts

sent30-0807311730@
去年頃から、だまって寝ている事が多くなっていた。具合が悪い時とよいときがはっきりしてきて、人間の老人のようである。。。この5月にどうしても所用で、富良野に電車で一緒に行くことがあった。まりの最後の旅行だった。片道3時間以上の強行軍だ。このころ体の調子がよいのでつい無理をさせた。それでも旅行中は元気ではあったが、帰ってからは、すっかり弱ってしまい、死んだように眠ることが多くなった。5月の下旬からそれまでのごはんは、食べるとき鼻に詰まって食べれなくなったので、固形の小さな粒に変えた。一旦よく食べて体重も戻ってきたので安心したが、よく考えると、この頃から水を良く飲んでいた。固形食にするとこういうこともあるので見過ごしたが、これが腎不全の悪化の兆候だったかもしれない。それから一月半。7月の21-22日と精神保険医の更新講習と恩師の墓参り(果たせなかったが)旧知との面会などで夫婦で東京へ。犬の介護用品を探しに別行動し、果たせずに数時間先に帰った奥さんの話では、なにかを探すように歩きまわって、割と元気だったという。私が帰ってからはトイレ以外まったく歩かなくなっていた。私の姿を探していたのだろうか。それに、その東京行の数日まえから、すっかり食べれなくなっていた。7月25日の朝、散歩に連れ出すが、地面に足をおろしたところからまったく一歩も歩かない。あわれにも、あたまを左右にゆっくり振りはするが、足にアリが登るままになっていた。いつかテレビで見た、巨像の最後の姿に重なった。午後からだんだん体温が下がり始めた。こうなると、やはりジッと見ていられないので、奥さんに頼んで白老の獣医さんにつれていく。矢も盾もたまらなかった。事の進行を何とか止めたいいてっも立ってもいられない家族の行動。なんどもなんども見てきた「家族の行動」を自分もした。
むかう途中で体温も35度ぐらいになり、死んだように冷たかったらしい。採血の結果尿素窒素が300をこえ、クレアチニンも4.7。カリウムも7を越えている。様は最悪の腎不全状態。朝2回したっきりの尿閉状態。皮下点滴を受けてやっとこさ戻ってきた。だれも信じないだろうが、まりは泣く。帰って来て、診療合間の私を発見した途端、目にたくさんの涙が溜まった。私がいなかったので悲しかったのか、すこし怒ったのか分からない。その夜、皮下に20mlの5%ブドウ糖を入れてやり、そのまま寝かせる。26日朝4時40分ごろ分ふと目が覚めると細かい痙攣様のふるえが顔面や上肢に出ている。「。。あーあ」その名を呼ぶと、一瞬解かったような表情になった直後に、完全に意識がない感じになり、家族に見守られながら、その4時54分に息をひきとった。。。享年13歳9月。人の年に換算すると75歳前後ということになる。
そして今、その年齢だけ一緒に寝た私の枕の横には小さな空間がうっすら残っている。慢性の腎不全の急性増悪ともとれる検査結果が残りはしたが、全体の流れとしては、主治医も私も、もともとの慢性心不全と肺水腫の進行が若干、加齢による慢性腎不全の進行を上回っただけで、いろんな事があったためのやや加速した老衰と考えている。最後の異常な尿素窒素高値などの血液結果は死の直前の進行生低体温と脱水、低栄養なども含め多臓器不全の結果だと思う。だが、2人とも、全経過を見ているので慢性腎不全の進行という考えはしていなかった。尿回数の上昇や逆に減少、浮腫、吐くことなどもなかったからだ。だが、、初めての獣医さんが奥方に言ったように、「検査結果を見れば、慢性腎不全の急性増悪の可能性。レントゲンは正常」という説明も、もっともだ。きっと、もっと早い時期、あの富良野行きの後に採血をしていたら、その日から減塩と散歩の中止、エナラプリル(人間では降圧剤として使う。カリウムが上がる)やアミノフィリン(強心利尿剤。喘息にも使う)、プリミドン(抗痙攣剤)などは減量をし、結果少しは長く生きて、もしからしたら14歳の誕生日もなんとか出来たかも知れない。判らないが。。けれど長く見ている主治医や私、しかも家族の一員の私としては、どこかで、「自然の流れ」を描きながら見る。それに、、やはり、「完全なころの」まりの姿と余りに違う姿をどこかで見たくなかった。結果、あるジレンマを残しての死別となってしまったのが、彼女の死後も尾を引く。
。。で、まりの死の教訓から、私は当院の個人情報補保護の署名用紙に、以下の文面を加える事にした。
**************
慢性疾患の患者さんは、以下のうちからお選びください。今後の診療の参考に致します。
1)当院をかかりつけ医としたい。 2)当院をセカンドオピニオンや風邪など急性疾患で訪れたい。
3)なんとなく。
注:1)を希望される場合は、必要な定期検査を行いますのでご了承ください。
2)を選択された場合、定期採血は原則行いません。かかりつけ医よりの検査結果をお知らせください。
当院では、必要かつ客観的検査なくして、あるいは無診察での薬剤の投与は、原則行いません。
当院は内科系の診療所です。入眠剤のみご希望の方は、精神科を受診されますようお願いいたします。
***************
 今の自分にできることは、こういう事や、ただ祈ることだけになってしまった。
まり、天国で安らかでありますように。長い間勇気をありがとう。パパより。(080728)